出羽三山信仰

山菜の聖地で味わう
 心尽くしの山菜料理
清流・庭園・山菜料理 玉貴 若女将
阿部 清美さん

月山の雪解け水で育った多種多様な山菜が採れる西川町は、まさに「山菜の聖地」。かつて出羽三山を訪れた行者たちが口にした精進料理にも山菜が使われており、時を経て、山菜料理として今に受け継がれています。町を代表する料亭、「清流・庭園・山菜料理 玉貴(以下、玉貴)」では、四季折々の山菜を丁寧に仕立て、受け継がれた地域の伝統とともに、心のこもったおもてなしを届けています。

山菜料理の歴史は古く、精進料理の影響を色濃く受けてきました。精進料理は仏教の戒律に基づき、肉・魚・卵・乳製品を使わず、山菜や野菜、穀物を中心に作られます。かつて出羽三山で修行した行者たちも、宿坊で山菜を取り入れた精進料理を口にしており、「自然との調和を大切にする」という精神が、地域独自の食文化を育んできました。玉貴の若女将・阿部清美さんは、「山の恵みを感じていただける料理を提供することが、私たちの使命です」と語ります。月山では4月から7月にかけて雪解けが進み、月山筍(根まがり竹)やしおで、たらの芽、こしあぶら、わらびなど、40種類以上の山菜が姿を現します。玉貴では、それらの山菜を丁寧に調理し、素材を生かした彩り豊かな料理を提供。その味を求め、県内外から多くの人々が訪れています。

四季折々の山菜で
 特別な日のおもてなし

四季の彩りに包まれた庭と澄んだ空気のなかで、旬を映す料理ともてなしに出会える玉貴。山菜を味わうひとときに、「次回はまた違った山菜が楽しめますよ」とやわらかく語りかけ、次の季節への期待をそっと添える若女将・清美さんの人柄も大きな魅力です。「玉貴での食事は、ただの食事ではなく、特別な体験であってほしい」との思いから、節句を大切にした「山菜料理」や「ひな膳」、「七夕料理」、「きのこ料理」などを用意。そのためハレの日に訪れる人も多く「お顔合わせや七五三、お食い初めなど、お客様が特別な日を過ごすために選んでくれることが、私たちにとっても大きな喜びです」と清美さん。「袖振り合うも他生の縁」という言葉を大切にし、創業50年以上守り続けてきた“おもてなしの心”と“地域とのつながり”を今も丁寧に紡いでいます。

近年は、生産者や採り手の減少や気候変動の影響で山菜の収穫量が減っていますが、町では月山筍などの特産山菜を一元的に集出荷し、加工・販売体制を強化。町長自ら管理に関わるなど、地域ぐるみで山菜を守る活動も活発に行われています。「地域の方々との深い結びつきに支えられて、安心してお客様に出せる料理になります」と清美さん。玉貴における山菜料理は、「西川町の自然と文化を味わう体験」そのもの。山菜料理の伝統、季節の美しさ、地域とのつながり、そしておもてなしの心を一皿に映し出しています。

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