NISHIKAWA GUIDE

西川町の人々

志津温泉つたやをフィールドに 出羽三山信仰と月山の魅力の案内人
変若水(おちみず)の湯 つたや 取締役会長
志田 靖彦

30代で先代の跡を継ぎ、月山志津温泉の旅館「変若水(おちみず)の湯 つたや」の代表取締役に就任。
月山は夏スキーだけでなく、雪旅籠の灯りのようなイベントを企画し、四季折々の魅力を発信し続けている。59歳のとき厳しい修行を経て山伏になり、地元信仰を伝えるべく湯殿山に参拝する「朝参り」を開催中。また、一般社団法人 月山朝日観光協会会長も勤めている。

私の西川町への想い

私達地元の人は「月山といえばスキーだけ」と考えていました。でも、私の妻が東京の人で、新たな目線で我々がマイナスだと思っていることを、いいことだと捉え表現してくれる戦友のような存在で、月山のポテンシャルが高いことに気づきました。
ここ志津温泉で「月山にはいつでも旬がある」というキャッチコピーを掲げ、1年中お客さんを呼ぼうと目標に掲げて様々な仕掛けをしています。

山の恵で400年もてなし続けた志津温泉

月山志津の地に人が常駐したのは1611年から。江戸時代の元禄ぐらいになると庶民が豊かになって、お伊勢参りや富士講といった旅行というのを始めるようになります。湯殿山参りも盛んにおこなわれるようになって、ここも訪れる人々をお世話する宿場町として活気づいていきます。それと同時に大勢のお客様を山から採ってきたものでおもてなしするようになり、長年試行錯誤を重ねることで山菜料理の原点となりました。さらに雪が多く天然の冷蔵庫になる環境もあいまって、ここ西川町が山菜料理のメッカとなっているのですね。
志田さんたちの祖先が400年もの間つむぎ続けた“山岳信仰の文化”と“おもてなしの心”を守り、次世代へ伝え続けるための新たな取組みも始まっています。

還暦を前に山伏修行に挑戦

「もともと湯殿山との関わりなしでは語れないという場所でしたので、必然的に山伏修行をやってみようと思ったんですね。ちょうど59歳で還暦を迎えるにあたって、生まれ変わりの修行ということで行ってきました。出羽三山の中で1週間ほど身を置いてみて、山伏修行の中には自然を畏れて自然を敬うといった精神があると感じました」と当時を振り返る志田さん。
ここ月山や出羽三山で連綿と受け継がれてきた信仰の心を伝えたいと始めたのは、湯殿山に参拝する「朝参り」です。「毎朝5時起きするのは大変なんだけど、参加された方がとても喜んでいただけて、自分のライフワークみたいな感じになっています」

「月山はいつでも旬がある」を体現

夏だけでなく一年中お客さんの絶えない地域にしたいと、キャッチコピー「月山はいつでも旬がある」を掲げ、イベント「雪旅籠の灯り」など冬の月山を売り出す様々な仕掛けを展開。
また、半露天風呂を客室に備えた特別室や本格的なサウナを山伏文脈で設置するなどした「変若水の宿 つたや」を建設。変若水はツキヨミノミコトが持っている若返りの水で、ここに来てリフレッシュして帰ってほしいというメッセージを込めて付けた名前です。

現代の便利すぎる生活では左の脳しか使っていないので、あえて自然の中に飛び込んで、右脳を刺激してバランスをとることで年取ってからもボケないと言われています。また、デトックス効果のある山菜をふんだんに使った食も自慢の一つ。そんなつたやには、山歩きや高山植物に詳しいなど、大自然の中での楽しみ方を知っている旅術に長けたお客さんが集います。
何気ない景色の中に隠れている魅力を伝えてくれることもあり、かけがえのない出会いを繋ぐ場ともなっているようです。苦節
30年にして、一昨年ぐらいに真冬も平均稼働率を超えるようなりました。つたやがオープンしてから、四季折々に変化する景観や食を求めて100回超えて訪れる方も。

「私達が気づく魅力以外に、うちのファンになってくれているお客さんが新たな魅力を伝えてくれたりすることで、より一層「月山は常に旬がある」という言葉が現実的になってきたなと感じています」

公開日:2025/10/05