NISHIKAWA GUIDE

西川町の人々

大井沢の自然と人の手で培われた 伝統と文化を守り、次世代へつなぐ
菊摩呂こけし工房・神主
志田 菊宏

生まれも育ちも西川町大井沢。祖父の志田菊摩呂工人のこけし作りを見て育つ。関西を中心に県外で3年ほど会社勤めをして帰郷。その後、昭和55(1980)年から5年間、米沢のこけし職人 高崎祐一工人の元で修業を積み、大井沢で祖父の作っていた菊摩呂こけしを継承するべく工房を開業。また、大井沢湯殿山神社の宮司を務めている。

私の西川町への想い

もともと豊かな自然の中にいる方が落ち着く人間なのでしょうね。一時期、関西の会社に勤めていましたが、大井沢の自然が好きで帰ってきたというのが正直なところです。それから、焼き物や和紙、ソーセージなどの職人として工房を構えている魅力的な人がいますね。なんといっても、山の中でありながら意外とひらけていて、朝日岳と月山が望める素晴らしい景観は美しく、それを眺めながら飲むお酒がまた美味しいんですよ。

大井沢に伝わる「伝統こけし」を継承

志田さんのお話をうかがったのは、菊摩呂こけし工房に併設されているカフェ。店内には、伝統こけしや創作こけしが展示されています。
大井沢で大正時代に作られていたこけしを、祖父の志田菊摩呂氏が復元し、菊摩呂こけしの名で親しまれるようなりました。太い胴に描かれているのは開き菊や重ね菊などで、頭の鉢が張り、丸みを帯びた肩が菊摩呂こけしの特徴です。縁起が良いとされる福助や福禄寿などの木地玩具の他に、自由な発想から生まれるかわいらしいフォルムの創作こけしも手掛けています。
菊摩呂こけしは、地元のイタヤカエデを伐採し1年程乾燥させた木を切り出して、ろくろを曳いて木地を作り、絵付けをして完成です。

伝統を守りつつ、創作こけしも製作

伝統的なこけしを作っている職人の中でも、結構早いうちから創作的なこけしを作るようになった志田さん。伝統を守りながら、売れるものを作っていこうというスタンスになって、こけしを愛好・収集する女性達「こけ女」の方々に注目されるようになっていきます。「伝統こけしというと、なんとなくおどろおどろしいものというイメージが強くて、敬遠していた方も、創作こけしのかわいらしさから興味を持って伝統こけしにハマる方もいます。代々、先人から伝えられてきたものを代々続けているから、伝統って長く続いているものですし、創作的なものってそんなに長く続かないんじゃないでしょうか。ですから、伝統とみんなに求められる新たなものの両方を作っていくことが大事だと思っています」

楽しんでもらえる仕掛けで多くの人に訪れてもらえる大井沢に

これからも大井沢に訪れる関係人口、交流人口が増えて、楽しんでもらおうと、イベントを結構組んでいる志田さん達。工房に併設されたカフェでは、絵付け体験(要予約)も行っています。先日もインバウンドで訪れた外国の方が、絵付けの後に工房で作り方の説明をして、コマなどを作ってプレゼントしたところ、ものすごく喜ばれました。
「私が宮司をしている大井沢湯殿山神社で9月第2土曜日に執り行われる『火渡り神事』には県内外から500名ほどの方が来られました。また、ここには焼き物やっている土田さんや和紙の三浦さん、ソーセージ(ポレポレファーム)の田作さんなど、いろんな人物がいます。大井沢自体のSNSでもイベント情報を発信しているので、ここでしか体験できない事やモノ、人に出会えるかもしれません」

公開日:2025/10/01